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新連載始めました

ふと思い立って、新連載始めました

腹黒粘着質宰相閣下観察日記です。
気軽に始めて、さくっと読めるようなお話を目指しています。
割と真面目に生きている高級官僚が主人公です。ただし下っ端。
といっても、題にある宰相閣下は半分も出てこない仕様に作者が困惑中です。
閣下、書きにくいよ閣下。
主人公のヴァレリーについて、読んでくれた友人たちの間では1:1で男性か女性かの票が別れました。
どっちなんでしょうね(えー)。

町民Cを書かないのではなく、そちらは水面下でごぞごぞしておりますので、いつかお知らせできる日が来ると思います。

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全く関係のない小話

ツイッターのお題で「ねーつくえ、甘えたがりの写真家と迷子の女性が幸せをもぎ取る話書いてー」というのをひいて、ちょこっと書いたわけのわからない小話です。おつまみ代わりによろしければ。



 カンナがその人を見つけたのは、本当に偶然だった。ファインダー越しに笑う顔。空気までほころぶような優しい表情に、カンナの時間も止まったのだった。

 カンナは自称写真家、とも言えなくもない。カンナはいずれ写真で食っていきたかったが、今のところは全くの無名であった。つまり金がない。日銭を稼ぐため、バイトの掛け持ちをしているものの、どうにも時間と大事な何かを売りとばしているような気持ちになって仕方がない。
 賞を獲るために写真を撮るのか、それとも生きるために写真を撮るのか、不意に無力感に包まれ、何もかもが面倒にある。客観的に見たときにカンナはいわゆるフリーターであった。しかも、夢を見ているという始末に負えない類の。親と言い争いをするのが嫌で、ここ数年は実家に帰っていない。最後に話したのは兄だった。子供が生まれたという報告。それが最後だったはずだ。
 どうにもならない現状を、一番自分が分かっていた。しかし、ずっとしがみついてきた夢を、容易に捨てきれるものではない。
 なんとなく身の回りに常にカメラを持ち歩いている。
 部屋でコンテストに応募する作品を選んでいたが、煮詰まってしまい、飛び出してきた。目的地もなく、ついでに金もない。車もないカンナは、自分の足で歩くしかない。自分から疲れてどうするのかと思うのだが、この焦燥感が消えるなら体力が消えるぐらいはお安い御用だ。
 今日もトイカメラを引っ提げて、近所の河原に降りていく。高彩度で撮れるこのカメラは、画像になんともいえない味わいを添えてくれる。どのような構図がいいか、どのようなアングルが美しいか、いつの時間帯であれば、どれだけ露出をすればいいのか。それらは技法書で散々学んでいた。構図の絶妙さをほめられたことがある。しかし、カンナの写真が賞を獲ることはなった。皆が口をそろえるのは、「魂が入っていない」などという漠然とした言葉だ。技法や理屈は分かる。だが、魂など、どうやって入れればいいのか分からない。
河原で平らない石を拾い、水面へ投げつける。2バウンドして、石は水中へ消えた。結局カンナはあの石のようなものだ。埋没して、外から到底見ることもできない。打っつくした気持ちを抱えたまま、トイカメラのファインダーをのぞく。子供だましの四角い枠はカンナの世界を枠の中に強引におしこめた。
 周囲を一望し、カンナはその人影に気が付いた。
「あれ……何してんだ、あの人」
 20代の女性だ。草むらに座り込み、なぜかニコニコ笑っている。何が楽しいのか分からないが、彼女は不意に笑み崩れた。
 その笑顔は、カンナの中の何かを突いた。
 反射的に、シャッターを切ってしまう。
 機械的なその音は思った以上に河原に響き渡り、シャッターの存在感を示してしまった。どっと汗が噴き出てくる。無断で女性の姿を取ってしまったのだ、訴えられても仕方がない行為である。
 女性は振り返り、カンナに気付いた。嫌な汗が背筋を滑り落ちる。
 しかし彼女は、予想外の反応を見せた。
「こんにちはぁ」
 語尾が伸びた、ぼんやりとした声で挨拶をしてきたのである。カンナは反射的に、
「あ、どうも」
と軽く返した。先程のカンナの行為に彼女は気づいているのか、心臓が早鐘を打つ。
「あの~すみません」
 女性が眉根を下げてカンナを見上げる。草むらに座ったままの彼女からすれば、カンナは見上げる位置にいた。やや薄い色の光彩は透き通った茶色で、まっすぐにカンナを映している。
「ここどこですかあ」
「は?」
 主語もすっ飛ばした会話に、カンナは思いっきり不審そうな声を上げてしまった。
「気が付いたらあ、ここにいたんですう。私の家はあ、どっちでしょうねえ」
 よくよく見れば、彼女の服装はコスプレのようなものだった。やたらキラキラテカテカしているのは、何の材質だろうか。遠目には普通にワンピースを着ているように見えたのだが、ずいぶん派手な格好だった。頭髪はこげ茶である。頭髪と顔立ちは、日本の風景に混ざっていてもおかしくないものだった。つまり、ただのコスプレをした女性……なのだろうか。この近辺でそのようなイベントが開催されるということは聞いた覚えがない。
「そういわれても、あなたのことを何も知りませんし」
 常識的にそうだろう。女性も納得したようで、しきりになるほど、そうかあと頷いている。
「ですよねえ、すみません~」
 しょんぼりした女性に、カンナの罪悪感がわく。こちらも後ろ暗いところがある、わずかなりとも力になれるものならなったほうがいいのだろう。
「警察にでも行きますか?」
「いいえ、だいじょうぶですう、もう少ししたら、お迎えがくるので、ここからうごいちゃだめなんですよお」
 なら、心配はなさそうだ。そういえば、彼女はいったい何を見ていたのだろうか。
「花?」
 彼女の足元にあったのは、変哲もない黄色い花だった。三つ葉の、紫っぽいやつに咲く花だ。名前は全く知らないが、小さいころ草抜きで面倒だった覚えがある植物だった。
「お花さんが咲いているんですう」
自身の頭にも咲いてそうな口調で彼女が話す。
「いいですよねえ、春って」
 そういえば、季節のことなど最近は気に留めたことがなかった。不意に顔をあげれば、ぬるい風が頬を撫でる。暖められた土のにおいが鼻孔をくすぐった。
 のんびりと笑う女性の顔を眺めて、ふと、初めてカメラで撮ったものを思い出した。確かあれは家族の顔だった。子供だったカンナは、父親のカメラを借りて、そこらじゅうのものを撮りまくったのだった。ピンボケ、何を映したか分からない、変な小物も写して、現像代の無駄だと父親に怒られた。唯一まともに取れていたのは家族の顔で、自分でもいいものが取れたと満足出来た覚えがある。そして、それを父母に褒められたことも。
 撮りたいから撮る。昔の気持ちが湧き出してくる、そんな気がした。
「あの、」
 カンナの声に、女性は振り返った。
「さっき一枚、間違えて撮っちゃったんです。すみません」
 はあ、と首をかしげる女性の顔に嫌悪感がないことに、安堵する。そして、さすがにこれは図々しすぎるな、と考えながら頼み込んだ。
「もし、よろしければなんですが、一枚撮らせていただいていいですか?」
 女性はしばらく首をかしげていたが、
「いいですよお」
と微笑んだ。
 じゃあ一枚、とシャッターを切る。ファインダーはあてにならないが、くすぐったそうに笑う彼女がおさめられているはずだった。
不意に、
「あっ」
と彼女が大きな声を発し、カンナの背後を目を丸くして見た。
 なんだ、と反射的に振り返ったが、誰もいない。なんだったんだと視線を戻すと、彼女はもういなかった。
 代わりに、白く大きな羽が一枚残されているだけだった。


 後日、トイカメラのフィルムを現像する。鮮やかな色彩に変換された風景と、微笑む女性。会心の出来であったが……。
「これは外に出せないな」
 彼女の背中には大きな白い翼が生えていた。
 会心の出来の写真はどこにも出せないが、忘れていたものを思い出せたことだけが、ささやかな収穫だった。思い出の中の何かを、再度手にできた春の日の出来事である。




主人公はお好みで男でも、女でもどうぞ。

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あたらしいなかまがふえた!

だーいしーーーーっぱーーい!

いや、新しい小説には町民が終わるまで手を出さない方がよかろうと思っていたんですが、煮えつまり過ぎたせいで書いたものが微妙にキリがよくなったので投稿してみました。

初夏なのに、冬のお話です。
冬の童話祭に出そうとしていたのですが、間に合わないので諦めたネタでした。


フェイクマスターみたいに1日で書き上げれればよかったんですが、淡々とした物語を目指しているのでなかなかです。
久しぶりに三人称もどきです。これが一番書きやすいです。というか、町民まではっちゃけた一人称で長文を書いたことがありませんでした。そのため初期の分を書籍で書き直すはめになったのはいい思い出ですね。

今更ですが、フェイクマスターはプロットを最低限組んでどこまで一気にいけるかを試してみた作品です。
見直しのために三日かけて投稿したのですが、間で大きなミスを発見したので三日かけてよかったというオチ(笑)

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リハビリ

文章を書くことを思い出すため、リハビリです。
金の時代です。まだ旅に出るまえの、大神官と勇者二人組みの話です。お茶濁し程度に。
(4/30改稿しました)




「この私にたてつこうとした無謀さ、思い知るがいい!」

 見事な金色の髪が、陽光に輝いた。彼女は高笑いをしながら、男達を尖った靴のかかとで踏みつける。鈍い音が路地裏に響き渡り、踏みつけられた男は哀れな声を上げながら悶絶した。男は痛みのあまり暴れまわっている。しかし、踏みつけた足は微動だにしない。ほっそりとした足の癖に、恐ろしい力を秘めているのだ。
 踏んでいる彼女は実に楽しそうである。なんともはつらつとした爽やかな笑顔で立っている。元気さがあふれているほどだ。足で踏んでいるのが男でなければ、普通の街角の光景かもしれない。

 青年はその様子を軒下の樽の上から眺めていた。彼はケンカが始まってすぐにここに退避し、ずっと状況を観察している。黒髪の冴えない青年だ。陰鬱そうな表情を浮かべ、高笑いをする彼女を眺めていた。
 踏まれる男を見た青年は、顔をしかめ自分の脇の辺りをそっと抑える。アレは痛い。自分の身をもって知っている。何度か同じように踏みつけられたことがあるのだ。事故もあり、故意もあった。どちらにせよ、かなり痛い。
 だが、制止の言葉は掛けなかった。止めたところで火の粉が飛んでくるだけである。どうせとばっちりをうけるなら、少しでも少ない方がいい。自分のささやかな努力で被害を減らせるものならば、他人の不幸などいくらでも目をつぶる。青年とて自分が可愛かった。
 青年はこの後の騒動を考えげんなりとした。考えるだけでゆううつになる。膝を抱え込み、その上に顎を乗せた。上背があるため、よけいに貧相なイメージが強くなる。あまりのゆうつさに、背筋を伸ばす気力もそがれたのだった。そして、周囲を改めて見回した。

 うらぶれた路地に転がる気絶した男達。手入れの行き届いていない剣もそこらじゅうに転がっている。明らかにゴロツキです、裏稼業ですといった服装だ。そんな彼らがごろごろと無軌道に倒れ伏しているさまは、まさに死屍累々である。十人以上はいるだろうか。一応、彼女は手加減が出来るため、殺してはいない。ただ、再起不能になっているだけ……だと思いたい。
 これらは青年の連れに絡んできた男達の末路であった。道を塞ぎ、女性に乱暴をしようとした相手のほうが、確かに悪い。何人に聞いても、相手が悪い一択の答えしか返らないだろう。
 しかし、それにしても過剰防衛気味である。ここまでやる必要があったのか。正直、後日の報復も恐ろしい。
 青年はうつろな目のまま空を仰ぐ。
「まあいつものことか」
 おでかけをするときはいつものことだ。望むにしろ、望まずにしろ、騒動が起こるのはいつものこと。
 青年は静穏を愛している。それが高じて星職に進んだ。そのはずなのに、なんでこうなった。それもいつも繰り返す言葉であり、胸中に広がるのは諦念である。

 路地の建物の隙間から見える空は青く、のどかな雲が浮かんでいた。背景におっさん達のうめき声がなければ、素晴らしい昼下がりだといえるだろう。
 それでもそろそろ現実のことを考える時間である。青年は胸の底から呼気を搾り出すような溜息を零しながら、自分の髪をかき回した。もともとおさまりの悪い髪がさらに跳ね上がる。
 さすがに止めないと危険だった。相手の男達がではなく、自分達が、である。
 懐から星術時計を取り出し、騒ぎが起こってからの時間経過を考える。先程騒ぎに気付いた街の女性が走っていったときから考えると、まもなく自警団が到着する頃合だ。未だにぐりぐりと男を踏みつけている連れに声を掛ける。ついでに懐から取り出したものを握りこむ。
「おーい、お楽しみはそれぐらいにして、帰るぞ」
「なっ」
 驚きのあまり、力加減を間違えたらしい。ぐえ、と声を漏らしてとうとう踏まれていた男が気絶した。連れはそれを一顧だにせず、青年の前につかつかと歩み寄った。
「なんだと、まだ私は遊び足らない!」
 おかんむりのご様子である。正面からこちらを見据える目は、怒りのためか紫水晶のように輝いている。流れる金の頭髪は無造作に束ねていても美しく、顔の造作も整っている。何よりも彼女を魅力的に見せているのはその生き生きとした表情だろう。今は、多少目が釣りあがっているが。まだ少女という域を脱し切れていない容貌である。
 だが、青年も引くことは出来ない。早くこの場を離れてさっさと帰りたかった。子守は自分の仕事ではないはずだ。
「じゃああれか? また自警団にとっつかまってひと暴れした挙句、近衛騎士団に迎えに来てもらって自警団が気絶して、王子が心労で寝込む場面が見たいと?」
実際にあったことをすらすら並べ立てれば、まろやかな頬がぷくりと膨れた。ああ、まだむくれる程度のお怒りか。青年は冷静に分析する。頭が血が上りやすい彼女と付き合うには、適度な距離が必要である。つまり、怒りを覚えられても本当の意味で激昂させない程度に抑えなければならない。
「ほら、帰るぞ」
「でも、」
開けられた口に、先程時計と一緒に取り出したものをねじりこむ。
「むが!」
容赦なくねじりこまれたものに、一瞬彼女は怒りかけたが、次第に不思議そうな顔になり、最期は微妙な表情になった。
「なんだこれ?」
「微妙な味のアメ。面白いだろう? そのうち苦くなったり甘くなったりするらしい」
「ふーん……」
アメに気を取られたのか、彼女は大人しくなった。アメやったこともばれなきゃいいが、と過保護な騎士団長を思い出し青年は胃をそっと押さえた。仮にも王族に毒見をしていないものを! と前回焼き鳥を与えたときにくどくど言われたものだ。
「帰ったらもっとやる」
「なら、今日のところは帰るか」
この王女様は現金なもので、珍しいものを与えると大人しく帰ることに同意してくれるのだ。
 アメ一つに嬉しそうな王女様を見ながら、自分の人生のどこで誤算が生じたか、青年はうなだれたのだった。

 

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じわじわ

 レジーナブックスさんのサイトに乗せるおまけ小説をごそごそ書いてたんですが、あいかわらずのほのぼの突っ込み話だと、今のシリアスの数倍早くかけることに気付いてガクゼンです。

 今の 3000文字 三時間
 ほのぼの 1000文字 30分
 
 あああああ! ぼけらったな話に戻りたいいいいいい!
 最近いやに時間が掛かると思っていたんだ!


 というわけで、おまけはいつも通りのボケ三人組です。突っ込みはどこへ行くのか。頭の時間軸を戻して描かなきゃいけません……。

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